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スペシャルインタビュー

株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役 小宮一慶お客さまに喜んでもらうための秘訣とは

経営という仕事について改めてご説明をお願いできますか?

経営というのは、「企業の方向付け」、「資源の最適配分」、「人を動かす」、この3つです。
まず、「企業の方向付け」が的確に出来るかどうかが非常に大切です。経営を理屈で述べるのは簡単ですが、実践が大切です。その実践方法を説明します。
企業の方向付けというのは、「何をやるか、やめるか」を決める事です。
そのための方法として、1つは新聞をきちんと読むということです。1面のトップ記事など大きな記事をきちんと読んで、「世間の関心に自分の関心を合わせる」訓練をすることです。
それには、ベースとして「素直で謙虚」でなければなりません。情報が入ってきませんから。
そして、周りの成功している企業だとか、ライバル・競合会社から学べることはたくさんありますので、それを学ばないといけないですね。

お客さま第一主義とはどのような考え方でしょうか?

これについて、多くの会社が誤解をしています。
お客さま第一主義で経営すると儲かるという風に認識をすると、それは「儲け第一主義」になります。
そうではなくて、お客さま第一主義というのは、お客さまが喜ぶことを一義的に考えるのですが、大事なことは、それによって働く人も喜びを感じるということなんです。
普通はお客さまに喜んでもらったり、働く仲間に喜んでもらったらうれしいでしょ?まずお客さまに喜んでもらうことを第一に考えれば、結果的に儲かるし、働く仲間も幸せになるという考え方です。
これは、経営の原点です。
そこが分かるかどうかで会社が成功するかどうかが決まります。
どうしても儲け第一になってしまう経営者が多いようです。
失敗する経営者に話を聞くとよく「お客さま第一主義にすると儲かるんでしょ」という言葉を耳にします。それは、儲け第一主義ということになります。だから、「儲けてこい儲けてこい」という風になっちゃうんですね。
それには、社員さんに働く喜びを感じてもらうということが必要になります。お客さまに喜んでもらって、自分も喜ぶという風に社員さんをもっていけるかどうかがポイントで、経営という仕事での「人を動かす」というところになります。これは経営者の姿勢や考え方にかかっています。
ごく僅かですが、お客さまに喜んでもらうことにも、自社の働く仲間に喜んでもらうことにも関心のない人がいますが、そのような場合は採用の誤りです。そういう人を採用しないように気を付けるべきですね。

お客さまに喜んでいただくためのQPS考える上で大切にするポイントはありますか?

お客さま第一主義にも関係しますが、
・クオリティ(Quality)
・プライス(Price)
・サービス(Service)
の組み合わせで、お客さまは自分にとっての最適な会社を選んでいます。
その組み合わせの中でお客さまが何を求めているかということを考える必要があります。ただ安ければいいというものではなくて、そこそこお金を払ってもいいからクオリティの高いものがほしいという人、例えば、ブランド品を買う人や、飛行機でファーストクラスやビジネスクラスに乗る人がそうです。
お客さまが求めているものを見つけ出すということがポイントのひとつです。
ただ、一般的に販売されている商品というのは、クオリティとプライスで差別化が難しいことが多いんですよ。店頭で売っているお菓子や工業製品がそうです。そうした時に「サービス」というのは、「応対が良い」、「店が近い」などの「その他」の要素ということになるのですが、そこで、どうやって差別化をするかがとても大事なポイントです。
一番根本的なことはお客さまに喜んでもらうということですが、他社とどこで差別化をするか、ということを見極める事が大切です。
それには、お客さま視点を常に持ち続けてお客さまの求めるものを見極める必要があります。
そこがとても大切です。

士業の方に対し、企業経営コンサルタントになるためのサポートもされていると伺いましたが、企業の立場から、士業や経営コンサルタントを選ぶ上で、見るべきポイントはありますか?

やはり、自社に的確なアドバイスをしてくれるということが大切です。
コンサルタントもそうですし、税理士、会計士、それから社会保険労務士もそうですが、雇ってもらっていくらというところがあります。ダメな人になると、社長におもねるんですね。
例えば、税理士さんで脱税を見逃すということはほぼないと思いますが、社長が経費を公私混同して使っているところを見逃してみたり、ひどい場合は決算の粉飾を手伝ったりすることがあります。
そうなると、結局、社長も会社もダメになっちゃう訳ですよ。
だから、会社のためにきちんと社長に物を言ってくれるかどうか、ということが士業、コンサルタントを見極めるポイントになります。
もちろん、コンサルタントも士業もプロフェッショナルですから力量があるということが大前提になります。
士業の方は試験に通っている訳だからある程度の力量がある事でしょう。
いずれにしても、社長のためではなくて、会社の為にアドバイスをしてくれるような士業を選ぶことが一番のポイントだと思います。
出来れば、士業の方たちも経営を勉強をした方がいいですね。税理士も会計士もそうですが、経営の勉強は試験のため以外にはしていませんから。
財務指標の作り方、成績表の作り方は知っていますが、その成績を出す方法が経営ですので、そういうことを勉強をした方がいいですね。
経営、それも実践での経営をきちんとを学んだ士業の方を選ぶことが会社のためになることは間違いありません。
繰り返しますが、やはり、会社のためにはっきりものを言ってくれるということが大事なポイントです。

ベンチャーの経営についてご説明をお願いできますか?

んー。これはなかなか難しいですね。
ベンチャー企業というのは時間との戦いなんです。
どういうことかというと、5年の内に半分以上つぶれると言われています。時間との戦いというのはお金との戦いということなんです。
お金が無くなると会社はつぶれます。
ベンチャー経営者の多くの方が誤解をしているのは、何か新しいことをやらなければいけないと思い込んでしまっていることです。
そうじゃないんです。
お金がない時は、「人がやっていることを人よりうまくやる」ということが、うまく経営するコツです。
だから、先ほどのQPSじゃないですが、自分たちが一歩踏み込んで他社より良いQPSをどのように出せるかということを考えたうえでそれをアピールする。
コストを安くし他社より価格を下げられるのか、クオリティをあげられるのか、その他の要素で付加価値を作れるのか。
だから他社がやっていることをうまくまねる、より良くまねるということがポイントです。そこには元々市場があるのですから。
新しいことをやるということに関していえば、特にアイデアで新しいことをやる事というのは、アイデアというのは誰でも考えつくんです。
でも、なぜ多くの人がやらないのかというと、市場がない場合が多いのです。
新たな市場を作ろうと、これまでにないビジネスや商品にチャレンジをすることは悪いことではないですが、ある程度お金に余裕ができてからやった方がいいと思います。
当たれば大きいですが、当たらなければ終わってしまいます。
とにかく、他社がやっていることで、他社より良いQPSを提供してキャッシュを安定して稼げるようにすることをまず先にやる方がいいです。
それは世の中の役にも立ちますし、自社の安定にもつながります。それをまずやるべきだと僕はいつもアドバイスをしています。

その他に経営者に向けてアドバイスはありますか?

やっぱり成功する経営者というのは、パターンがあるんですね。
前向きで利他心があってなおかつ反省をする人です。
前向きにチャレンジをすることはとっても大切です。
自分だけ良ければいいというのではなく、お客さま、一緒に働く仲間のためにも良い仕事をしようとすることはとっても大事。
なおかつ、上手くいったときも、いかなかったときも反省して、それを積み重ねることが出来るかどうかがとっても大事なことです。

株式会社小宮コンサルタンツ 代表取締役 小宮一慶

京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス (現、セントケア)を経て独立し現職。名古屋大学客員教授。
企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」を元に、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー21)など著書は120冊を超え、現在も経済紙等に連載を抱える。